私はしきりにドサ健がなつかしかった。一度として他人と馴染んだことがない、あの性格破綻の博打打ちドサ健が、今どんな顔をして暮らしているのだろうか。
他人の生きざまをしつこく聞いたところで、この世界では一文の徳にもならない。
こうして、数時間、汗を流す。このトレーニングはバイニンならば一日も欠かさない。
車の中にはノート類が積み重ねられてある。
さすがはプロだと私は感心した。
アッと驚くような犯罪をやってしまう人間は平常おとなしい陰気なタイプが多いという。
私は本質的には犯罪者型人間である。
私はチン六に同情はしなかった。良いとか悪いとかは、この世界でははじめから問題にならない。知恵で戦い、力で戦う。負ければ手傷を負うが、当然のことで、それがいやならこの世界に入らなければいいのである。